個人的にはクリニック開業時期はあまり気にされなくても良いと考えていますが、一般的には重要とされるセオリーがあるようです。今回は開業時期はいつが良いのか、記事にしていきます。
外来ピーク月の2ヶ月くらい前が最適
何月に開業すべきかというのに正解はありませんが、私は外来がピークとなる月の2ヶ月前が良いのではないかと考えています。
外来がピークとなる月にオープンすると、クリニックのインフラが整っていないため外来がパンクし、かえって患者さんに迷惑をかける可能性があります。
ピークの2ヶ月くらい前であれば、外来に余裕がありスタッフ教育やインフラを整えるのに十分な時間が確保できます。
たとえば内科系クリニックであれば、風邪やインフルエンザが増加し外来が忙しくなる11月あたりを見据えて9月くらいにオープンすると良いかもしれません。耳鼻科系であれば花粉症が増える前に、整形外科では寒くなって痛みを訴える患者さんが増える前にオープンすると良い感じにスタートを切れるかもしれません。
一般的に開業を避ける時期
外来患者数と時期があまり相関しない科では、これといっておすすめの時期はありません。しかし、やめておいたほうが良い時期はあると思います。
たとえば梅雨時期。アクセスのよほど良い立地でない限り、梅雨時期には患者数は減少します。まして知られていないクリニックにわざわざ足を運ぶ方は少数となる可能性が高いので、開業時期からは外した方が無難と思います。
あとは8月開業も考えものです。基本的にスタッフは夏季休業があるものと考えて入職してきますので、夏季休暇がないとするとスタッフの士気が下がります。8月に開業したばかりで夏季休暇をとると、開院日数自体が減るにも関わらず固定費はかかってくるので経営が厳しくなります。
私は4月開業でした
私のクリニックは整形内科ですが、開業時期についてじっくり考察せずに4月開業としました。クリニックの前に長い桜並木があり、桜が満開の中で開業ができたら素敵だなという思いから開業時期を決定しました。
実際には開業前日の突風で桜がほとんど散っていた、というオチがつきますが、毎年桜を見るたびに開業時のフレッシュな気持ちを思い出します。そんな意味でも今では4月開業でよかったと思っています。
また、4月というのは我々日本人のDNA的に「新たな生活のスタート」とか「新たな出会い」などポジティブなイメージが刻まれているので、患者さんからも新規クリニック自体を好意的に受け取られやすいかもしれません。
整形外科やペインクリニックの患者さんは、一般に寒い時のほうが痛みを強く訴えることが多いのですが、実際には季節に関わらず痛い方はコンスタントに来院されます。また外傷もあまりピークというピークはありません。振り返ってみれば、いつ開業しても問題なかったなと思います。
繰り返すようですが、季節によって患者のピークがある科では開業時期について真剣に考察されることをおすすめします。
地域に強い競合がいないなら時期を問わず早めの開業を
開業時期を気にして開業自体を遅らせることで、機会損失するのもいけません。
開業地域に強い競合がいない場合は、地域の患者さんは医療機関がなくて困っているので、時期に関わらずきっと来院されるはずです。
うだうだ悩むより、さっさと開院して売上げを確保してしまったほうが、良い場合もあると思います。
逆に強い競合がいる場合には、客足の遠のく時期に開業すると全く外来に患者さんが来なくなる可能性もあるので、しっかり戦略を練っておく必要がありそうです。
ピーク時期であれば、どこも外来がパンク状態になるので、競合からあぶれた患者さんがクリニックに押し寄せてくることもあるかもしれませんね。
ですが、そもそも強い競合がいるような地域では新規開業すべきではありません。「弱者の戦略」でゲリラ戦を仕掛ければ戦えるかもしれませんが、本来のやりたい医療から離れてしまうかもしれません。
「弱者の戦略(ランチェスター戦略)」についてはこちらの記事で紹介しています。
まとめ
開業時期についてはこれという正解はなく、ケースバイケースとなります。しかし梅雨時期や8月など開業に向いていない時期はありそうです。現在やっている外来状況をみながらピーク時期を見極めて、その2ヶ月くらい前に開業するのが安全性が高いと思います。