医師の働き方改革について議論されるようになってきましたが、真の意味で自由業としての医師をやっている方は超絶少数派だと思います。
今回は医師の働き方について、ロバート・キヨサキ氏が提唱するキャッシュフロー・クワドラントに沿って考察します。
- キャッシュフロー・クワドラントとは
- 医師のキャッシュフロー・クワドラントとは
- 医師の資格を生かしたIクワドラント戦略
- Eクワドラントではいけないのか
- Sクワドラントもあまり効率がよくない
- BやIクワドラントへ昇華したい
- まとめ
キャッシュフロー・クワドラントとは
「金持ち父さん貧乏父さん」で有名なロバート・キヨサキ氏が著書の中で提唱した概念で、資本主義経済の中でお金を得るプレーヤーの立場を4つに分類したものです。
E (employee):被雇用者
S (self-employee):自営業者、専門職
B (buisiness owner):ビジネス・オーナー
I (investor):投資家
Eクワドラントに近ければ近いほど、ラット・レースから出られず資産を形成できずに経済的自由を手に入れることができないとキヨサキ氏は言います。またこのクワドラントでは基本的に給与所得となるため、稼げば稼ぐほど累進課税制度の餌食となります。
Sクワドラントは一見すると自分でビジネスを起こしているため、経済的自由に近そうに見えますが、自分自身が働かないとビジネスが立ちいかなくなるため結局は自由になれません。
Bクワドラントでは自分で働かず、他人を雇用することでビジネスを回し利益を得ます。ビジネスのシステムを提供することや、新たなビジネスアイデアを構築することが必要になります。
Iクワドラントは、E, S, Bクワドラントのいずれかにお金を投資し、投資から利益を得ています。究極的にはIクワドラントに行くことによって不労所得を得て、真の経済的自由を得ます。
医師のキャッシュフロー・クワドラントとは
実際に医師の働き方を見ていった場合、以下のように分類できます。
E:ほぼ全ての勤務医、雇われ院長、厚生労働省医系技官、製薬会社勤務、大学教員、研究者など
S:ほぼ全ての開業医、フリーランス医師、スモールビジネス起業家
B:医療法人理事長、一部開業医、規模の大きなビジネス起業家
I :?(他のクワドラントとの兼業の場合は多くいる)
Iを?としたのは、医師でも株式投資や不動産投資で利益を上げる投資家のかたは多くいらっしゃいますが、投資のみで生計を立てている方にはお会いしたことがなかったためです。ここまで行くと医師としての肩書きは必要なくなっていくのかもしれません。
医師の資格を生かしたIクワドラント戦略
しかし、もう少しIクワドラントを掘り下げてみます。
「投資家」と書いてしまうと実際が見えにくくなってしまいますが、要するに「不労所得」を得る仕組みを持っていること、と言い換えることができると思います。
すると以下のパターンもIクワドラントに分類されるかもしれません。
黙っていてもポケットにお金が舞い込む仕組みを構えられれば、新しい投資の勉強ができたり大好きな診療に時間をかけられたりするようになるでしょう。
仕組みづくりまでが大変なのでしょうし、成功例が出ればすぐに2番手3番手が現れると思うので大成功するのは非常に厳しいのでしょうがやってみる価値はありそうです。
このほか、病院や診療所、介護施設等を対象とした賃貸業(不動産投資あるいはREIT)や、新規開業者への融資事業などが、医療業界界隈でできる投資でしょうか。
Eクワドラントではいけないのか
Eクワドラントで仕事をすることは悪ではないですが、最良の選択肢であると胸を張って言える方がどれだけいるでしょうか。Eクワドラントでどれだけ仕事で成果を出しても、それは個人の資産には決してなることはなく帰属する組織のものとなることを覚えておいてください。
例えば、大学所属の研究員が出した成果で特許を取得する場合、基本的には大学がその権利を持ちます。大学は研究員に対して給与を支払っているため、その対価としての労働で研究結果を出すという、当たり前の契約関係があるのです。
単純に研究を愛している、学問の高みに近づきたい、という純粋な気持ちでやっているならそれでいいのですが、お金持ちになるという観点では難しいと言わざるを得ません。
Sクワドラントもあまり効率がよくない
開業医やスモールビジネス起業家も、結局自分が労働しなければビジネスが動かないため自分の自由に時間を使うことはできません。
私はこのSクワドラントにいますが、急性扁桃腺炎で倒れた時にはクリニックを閉めざるを得ず、その間は完全な無収入(人件費、家賃はかかり続ける)になりました。
自分のやりたいように仕事をデザインできるのでやりがいや楽しさは勤務している時よりも格段に増しますが、仕事にかかる時間はむしろ勤務医よりも長くなっているかもしれません。
BやIクワドラントへ昇華したい
私はこれからBクワドラントで生活することを一つの目標に掲げ、精進していきます。常に意識し行動することで、必ず成功できると確信しています。
また50歳でプチリタイアするのが人生の目標ですので、Iクワドラントで生活できるよう投資活動や「自分のポケットにお金を入れてくれる」システム作りを頑張って行こうと思います。
都心部での開業にも段々規制が入ってくるというニュースもありましたので、ずっとSクワドラントで規模を拡大していくというのにも限界があるでしょう。そういった先行きの見えない時こそ、BやIクワドラントにはチャンスが広がっていると私は思います。
まとめ
今の自分のクワドラントを意識しましょう。そしてEやSにいる方は、BやIを目指しましょう。自分にできる投資は何か、常に模索しましょう。