アネスラボ@整形内科開業医ブログ

都内で整形内科開業医やってます。医院開業の経験を生かして、医師の開業方法、資産形成まで幅広く情報発信しています。Twitter始めました、ぜひ絡んでください(ID: @anes_lab_)

<クリニック開業>クリニック開業まとめ

クリニック開業に関わる記事をまとめました。

クリニック開業を実際に目指している方やご興味がある方は是非参考にしてください。

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開業コンセプト

クリニック開業する上でコンセプトの決定は非常に重要です。私は整形内科というコンセプトを中心にしてクリニックを立ち上げました。

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クリニック立地

クリニックの立地はその後のクリニック生命に直結します。より集患できる立地については、こちらの記事で紹介しています。

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損益分岐点の計算

実際に開業準備に入る前に、クリニックの損益分岐点の計算をしておくべきと考えます。概算で良いので計算しておくと、大まかに必要となる患者数が計算で求められるので、来院が見込めるかについて事前にマーケティングしておくと良いでしょう。

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開業準備期間

開業準備を進める上で重要なのがスケジューリングです。経験からは1年半くらいの期間があると安心できるかと思います。

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開業支援サービスと開業コンサルティング

私も利用しましたが、かなり便利です。絶対必要であるわけではありませんが、よほど腕に自信がある場合以外はうまく利用すると良いでしょう。

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クリニック開業届出

クリニック開業する際には開業届出が必ず必要になります。届出は随時できるわけでなく、〆切があるのでよく調べて早めに対応しましょう。

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オープニングスタッフの採用

スタッフ採用が大変重要であることは論を待ちませんが、オープニングスタッフは尚更です。実際の方法についてまとめています。

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クリニック開業時の広告戦略

クリニック自体を広く世間に知らせないと潜在顧客が増加せず、受診に繋がっていきません。開業時の広告戦略についてまとめました。

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クリニック内覧会

クリニック内覧会は、クリニックを周知させる絶好の機会です。ぜひ開業の際にはやってみると良いでしょう。

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クリニック開業時期

クリニック開業時期については全科共通のセオリーはないため、ケースバイケースで決めていくしかありません。外来混雑ピーク時の2ヶ月前くらいに開業するのがベターだと思います。梅雨時期や8月開業は避けた方が無難かもしれません。

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クリニックウェブページ管理方法まとめ

別記事でクリニックの広告戦略について書きましたが、ウェブ戦略の重要性については異論はないと思います。ウェブページを作成するクリニックは多いと思いますが、管理運営を業者任せにしていたり、作成してから放置したりしている方もいるのではないでしょうか。今回は、私がクリニックのウェブページ管理に利用しているサービスをまとめます。私は一介の開業医なので、技術的な細かいことは、より詳しいサイトを参照してください。

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SEO対策とは

ウェブ対策でまず話題に上がるのが、SEO(Search Engine Optimization)になると思います。検索エンジン最適化のことですが、具体的にはどういうことなのでしょうか。

ヒトがウェブページにアクセスする場合、ほとんどの場合、検索エンジンGoogle, Yahooなど)にキーワードを入力して検索し、検索上位に表示されたページを見ることになるでしょう。

実際、自然検索の1位に表示されれば、クリック率が21.12%ですが、2位では10.65%、3位は7.57%となり、2ページ目ではほとんどクリックされることはありません。

つまり、検索に引っかからなければ、インターネット上ではクリニックが無かったことになってしまうわけです。だからこそ、検索上位に表示させるようにしのぎを削るのですね。

ざっくり言うと、クリニックのウェブページが自然検索の結果として表示されるとき、その順位をあげるための対策のことを、SEO対策と言います。

現行のSEO対策に有効な手段

Googleは常にサイトの信頼性を評価するアルゴリズムを常にアップデートしています。

大幅なアップデートが大体年に1回くらいのペースで行われ、その度に検索順位に変化が起こります。

かつては、外部リンクをたくさん貼ることでサイトの信頼性が上がり、上位表示されていたこともありましたが、現在それはほとんど無効と言って良いような状況になっています。

また2018年8月のgoogleアルゴリズムのアップデートで、かなり順位の入れ替わりが起きたようです。私のサイトも大きく順位を落としてしまったので、そこからウェブサイトの信頼性を高めるために改訂を重ねています。

このように創造主たるgoogleが新たなアップデートを生み出してくるため、小手先の技術に頼ったSEO対策は無効と言って良い時代になりました(ブラックハットSEOの終焉)。

こんな時代にウェブサイトの信頼性を上げるためには、とにかくサイトを利用する方の利便性を上げることと、自分の言葉で表現した情報の充実に努めることです。

利便性を上げるには、サイト構造自体を見直して、内部リンクを使ってツリー構造にしたりするのも良いかもしれません。

コンテンツは、無駄にキーワードを詰め込むようなものでなく、真に患者さんのためになるような情報を発信していくことで、googleからも評価されるようにしましょう(ホワイトハットSEOの隆盛)。

しかし重要なこととして、googleが公表しているガイドラインに出ているタブーを犯すとサイト自体がペナルティを課されて順位を大幅に落とす危険があるので注意してください。

support.google.com

Google search consoleとは

実際に私がサイトを管理する際にはGoogle search console(通称サチコ)を利用しています。

このサービスに自院ウェブサイトを登録すると、クリック数の推移や、検索キーワード毎のウェブサイトの順位、ウェブサイトに流入してくる検索キーワードなどを閲覧することができます。

最初、ウェブサイトを立ち上げたばかりだと、検索数が全然増えずにヘコみますが、こちらで得られる情報を元にサイトのコンテンツを見直したりするのがオススメです。

ざっくりとした自院ウェブサイトの検索エンジン内での立ち位置を知るのに有用なサービスだと思いますので、是非利用してみましょう。

Google analyticsとは

 Google analyticsは、サチコよりも詳しく、ウェブサイトを利用した方の情報を集めることができます。

こちらも自院ウェブサイトを登録すると、利用を開始できます。

どの検索エンジンから、どんな端末を使って、どれくらいの時間サイトを閲覧したかなど、非常に細かく情報を集めることができます。

サイト内のフロー(ページからページにどのように移動していったか)をまとめたフローチャートが非常に見やすく、サイト構造を考える際にもとても有用です。

まとめ

私個人ではこの2つのサービスを利用してウェブサイトを管理運営しています。いずれも無料にも関わらず、非常に機能が優れていますので、是非利用されることをオススメします。もちろん他にもたくさんのサービスがありますので、いろいろ試されるのがよろしいかと思います。

クリニック開業時の広告戦略まとめ

クリニックを開業をする際、あるいは経営する際にクリニックの認知度を上げるための広告戦略は重要です。今回はクリニック広告について、私が実際に行ったものについてまとめます。

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内覧会折り込みチラシ

開業以前に出した広告のうち、最初に行ったものが折り込みチラシでした。クリニックの入っている医療モールで同時期に皮膚科が開業することになっていたため、共同で内覧会の折り込みチラシを作成しました。

一般的なA4サイズの片面カラー印刷で、内覧会の日時とクリニックの概要を書いた簡単なものだったと記憶しています。

折り込みチラシですから新聞に挟んで配るのですが、新聞会社によって顧客数や顧客分布が微妙に異なるため複数の新聞社に申込みます。

私のケースでは、毎日新聞朝日新聞日経新聞に折り込みを依頼し、3km四方くらいの範囲に出したと思います。

皮膚科と折半だったので相場よりは安上がりでしたが、たしか20万円くらいかかったと思います。内覧会を知らせることのできる数少ない手段であるため、コストパフォーマンスは高いと思います。

クリニックホームページ 

2019年現在、患者さんがクリニックを探すときにはほぼウェブ検索を利用します。

新規開業でホームページ を作らないのは、このご時世ではナンセンスであると言えます。

様々なウェブサイト製作会社がありますが、各社比較し医療分野に明るい会社に頼むべきでしょう。値段は高くなりますが、医療分野特有の医療広告規制などについて詳しくないと後々苦労することになるかもしれません。

医薬品卸会社によっては非常に安価に作成しているところもあるようなので、探してみるとよいかもしれませんね。

私は開業前に時間があったことと、コスト削減のためにホームページは自作しました。WIXと呼ばれるCMSを使うと、HTMLの知識などはなく比較的簡単にサイトが構築できます。

CMSではWordpressが圧倒的に有名ですが、サイト作成に取り掛かったときに直感操作のしやすさと海外で1億人が使っているというキャッチフレーズでWIXに決めました。

ウェブサイトを自作するとSEO対策は自分で行わないといけないため、検索上位を取るのはかなりきついのですが、その分サイト運営するための知識が身につき経験値を積むことができます。

具体的にはgoogleアナリティクスやgoogleサーチコンソールなどを使ってウェブサイトの管理や分析を行いますが、これについてはまたの機会に記事にししようと思います。

クリニックパンフレット

クリニックの特徴についてまとめたパンフレットを作成するのはすごく有用です。

このご時世で紙媒体かよ、と侮るなかれ。

中年以降の患者さん(とくに女性)は、話のネタに飢えているので、パンフレットを渡しておくと勝手にお友達に宣伝しておいてくれます。

内覧会で配るのはもちろんですが、開業以降も初診患者さんに手渡ししたり、エレベーターなどに置いたりしてどんどんパンフレットを拡散していきます。

近隣の医療機関などにご挨拶に伺うとかにも利用できるので、ある程度まとまった数のパンフレットを用意しておくと良いと思います。

パンフレットには医院の特徴のほか、院長経歴や、クリニックの売りポイントを散りばめます。名刺代わりになるため、広告代理店におまかせにせず、きちんと自分の言葉で文章を書くと良いと思います。

医療モール入り口サイン

私のクリニックは医療モールに入っているため、モールの入り口にサインを出すことになりました。

物件オーナーからは、他のクリニックと同様の書式でサインを出せという要望がありましたので、好き勝手なデザインではできませんでした。医療モールではこのようなケースが多いと思います。

クリニック名や休診日などを表示しておく簡単なサインだったのですが、広告会社から余白にクリニックの特徴を出すように言われました。

他のクリニックはカッコよく最新機器の写真を出したり、特定検診をやっていることなどについて書いてありました。

私は通行人の目に留まりやすく、誰がみても何が得意か分かるようなものがよいと、『腰痛』『肩痛』『首の痛み』とデカデカと表示することにしました。

当院では初診の問診票で来院動機のアンケートをとりますが、最多のホームページ経由に続き通りがかりの方もかなりの割合を占めており、サインを目にして来てくれた患者さんが多いことがわかります。

やっぱり見た目にカッコいい看板にしたくなりますが、潜在患者さんが1人でも多くなる方が有益ですので、実を伴ったサインにするべきと考えます。

人材募集広告

当院のスタッフ採用には、とらばーゆジョブアイデムを使いました。

前者はウェブメインになるので、比較的若い方が広域から閲覧する傾向があります。一方後者では、上述した折り込みチラシのような効果をもたらすことがあります。

実は世間には別に職探ししているわけでもないのに、折り込みの求人チラシは見る方が結構多くいるらしいのです(税理士社長談)。とくにある程度年配の方に多くいる傾向があるそうです。

人材募集広告で万が一よい人材が採用できなくても、副次的にクリニックの認知度は上がります。とくに高齢の潜在顧客の増加に繋がる可能性があるため、全くの無駄にはならないのではと考えます。

まとめ

私がクリニック開業時に行った広告は以上の通りです。ウェブ戦略が非常に大切なのは言わずもがなですが、実はアナログな戦略がじわじわボディーブローのように効いてくるので、ないがしろにせずに取り組んでみてください。

<クリニック経営>ランチェスター戦略について

クリニック経営を行う際に、自分のやりたいように運営するだけでは売上につながらないことがあります。自院の地域における立ち位置を明確にし、経営戦略を立てることで、古株のクリニックに負けずにクリニック経営を行うことができるようになります。今回はランチェスター戦略「弱者の戦略」についてクリニック経営に活かす方法について記事にします。

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ランチェスター法則とは

ランチェスター戦略自体は日本で生まれた経営戦略ですが、その源流は「ランチェスター法則」にあります。

ランチェスター法則はイギリス人航空工学研究者 F.W.ランチェスター(1868〜1946)が第一次世界大戦時に提唱した法則です。

元々は戦争における戦略法則だったのですが、これをオイルショックの時代に日本人の経営コンサルタントの中で再発見され、現在まで企業経営に生かされています。

ランチェスター法則は第1と第2に分かれています。

ランチェスター第1法則:戦闘力=武器効率×兵力数

第1法則は原始的戦争における戦闘を想定しており、主に局地戦や接近戦に関わる法則です。例えば、敵味方ともに竹やりしか持っていなければ兵力数だけで勝敗が決しますが、そこに火縄銃が持ち込まれれば戦況は大きく変わることでしょう。原始的な戦闘では、兵力か武器数で上回ることが勝利に直結します。

ランチェスター第2法則:戦闘力=武器効率×兵力数の2乗

第2法則は近代戦争における戦闘を想定しており、主に広域戦や遠隔戦に関わる法則です。この場合、同時に複数の敵を攻撃できる兵器を使って戦闘が行われ、これを確率戦と呼びます。例えば、離れた敵同士がマシンガンを打ち合うような場面を想定しています。このような場合、武器性能の重要性は第1法則と変わりませんが、兵力が2乗されるため兵力が多い方が圧倒的有利になります。

ランチェスター戦略とは

ランチェスター法則を経営に戦略として活かしたのが、ランチェスター戦略です。

ランチェスター法則で得られた結論はなんでしょうか、それは「兵力が多ければいかなる場面でも有利だ」ということです。

では小さい組織は大きな組織に勝つことはできないのでしょうか。

「第2法則」が適用される場合、戦局を覆すのは正直難しいでしょう。兵力の違いが戦闘力に大きく影響するため、武器効率を高めても焼け石に水です。

「第1法則」が適用される状況では、兵力の比を上回るだけの武器効率を得られれば勝つことができます。

局地戦に持ち込み兵力を局所に集中して投入できれば、その地域で小は大に勝つことができます。そうして各個撃破することで、全体の戦局を大きく動かすことができるかもしれません。

ランチェスター戦略から導かれる3つの法則は以下の通りです。

  1. 奇襲の原則(局地戦、接近戦、ゲリラ戦)
  2. 武器の原則(武器効率を兵力比率以上に高める)
  3. 集中の原則(兵力を局所集中する)

クリニック経営におけるランチェスター戦略とは

クリニック経営にランチェスター戦略を活かすとすると、具体的にはどのような戦略が使えるでしょうか。

経営において武器効率は商品力、兵力は販売力と言い換えることができます。

クリニックにおける商品力は、院長自身の診療技術、特殊スキル、クリニックブランド力、口コミ、スタッフ接客スキルなどでしょう。

クリニックにおける販売力は、スタッフ数、医療機器・設備、予約システムの有無、待ち時間対策などでしょう。

それぞれに力をつけトップシェアのクリニックに対抗していきます。

上述した通り、新規開業の弱小クリニックは第2法則適応状況には非常に弱いため、特殊な環境でない限り広域から集患することはしてはなりません。第1法則が適応される局所戦に持ち込みます。

つまりシェアを取りたい地域を決め、そこに力を注いで患者さんにアピールしていきます。また患者さんに対する対応を丁寧にし、良好な関係を築くことも局所戦を制する鍵となります(奇襲の原則)。

次に商品力や販売力をつけ、競合クリニックとの戦闘力の差を少なくします(武器の原則)。

そして経営資源を一極集中します(集中の原則)。例えば、何でも診れるクリニックを目指すより、競合がやっていないような特殊なスキルや診療内容を前面に打ち出すことなどです。

私は開業当初、線路や幹線道路に囲まれるクリニック周囲200mくらいの地域でトップシェアを取ることを目標に頑張りました。商品力・販売力をつけるため、オンライン予約や接遇対策、ウェブサイトのSEOや口コミ対応を行いました。

集中の原則についてはまだ完全に達成されていませんが、経営資源を守るため自分のあまり得意ではない分野の患者さんがいらした場合は他の医療機関に紹介しています。私は腰痛診療や神経ブロックが得意なので、今後はこれらに経営資源を集中していくつもりです。

まとめ

ランチェスター戦略は経営に有用な考え方であり、それはクリニックを経営する場合でも変わりません。弱者(新規)が強者(古株)に勝つには戦略が必要です。そして戦略により導かれるクリニックの診療は、必ずしも大病院の外来でやっていたことと同じではありません。しっかり戦略に基づいたクリニック経営をしていきましょう。

<クリニック開業>クリニック損益分岐点の計算について

クリニックに限りませんが、赤字とならずに経営していくための重要な指標に「損益分岐点」があります。クリニック開業を目指す上では必ず知っておく必要があり、これを計算せずにどんぶり勘定でクリニックをオープンするとのちのち経営に苦労することとなります。今回は損益分岐点の計算について記事にしていきます。

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損益分岐点とは何か

経営が黒字となるための売上(ときに患者数で表現します)を損益分岐点と呼びます。設備投資を行なったり各種費用を出しても採算があう状態にある損益分岐点は、クリニック経営を考える上で必須の項目です。

医師は経営を学ばずに医学部を卒業して社会人となります。「医は仁術」であることに異論はありませんが、経営を学ぶことなくクリニックを開業し赤字となってクリニックが閉鎖されれば、クリニックを利用する患者さんや雇用したスタッフを路頭に迷わすことになりかねません。

開業前に概算で良いので損益分岐点を計算し、その売上(あるいは患者数)を確保できるか事前によくマーケティングすべきです。

孫子の言葉にも「相手を知り、己を知れば、百戦殆うからず」とあります。しっかり事前準備を行うべきでしょう。

変動費と固定費

クリニックの費用は大きく「変動費」と「固定費」に分かれます。

  • 変動費:医薬品購入費、材料費など
  • 固定費: 家賃、人件費など

変動費は外来患者さんが増えれば増えるほど、増加する費用のことをさします。他にも血液検査の外注委託費などがあるかも知れません。

固定費は患者数に関わらず毎月ほぼ定額でかかってくる費用のことを指します。宣伝広告費減価償却費、リース代などもここに含まれます。

雑費についてはケースバイケースですが、一般に固定費に含んで計算することが多いようです。

変動費率と固定費から損益分岐点を計算する

最初に変動費率の計算方法を確認していきます。

変動費率は売上に占める変動費の割合を示します。

変動費率 = 変動費 / 売上

私が顧問税理士から教わったのは、医業原価(医薬品、材料費)を売上の10%で概算するというものです。当院ではあまり外注検査が出ないのですが、内科クリニックなどの場合は追加で外注委託費が5~7%程度かかってくるものと思います。

すると一般的には変動費率は10~17%程度になると設定できるでしょう。

 

次に固定費を計算します。

これは単純に固定費に当てはまる項目を全て足し合わせます。

固定費 = 人件費+賃料+減価償却費+リース+雑費

ちなみにこの人件費のところに院長自身の取り分もしっかり入れておいてください。個人事業主の場合、税務申告では人件費に含むことはできませんが、損益分岐点の計算に入れておかないと無給状態になってしまいます。

 

最後にこれらから損益分岐点を計算します。

損益分岐点売上高 = 固定費 /(1ー変動費率)

また損益分岐点患者数も計算しておくと良いでしょう。

損益分岐点患者数 = 損益分岐点売上高 / 患者単価 / 稼働日数

患者単価ですが、私は開業前には余裕を持って3,500円で計算しておきました。実際にはもう少し高い値になることが多いと思います。

まとめ

損益分岐点の計算方法についてまとめました。実際に計算するときは、概算で何%に設定するべきかはクリニックによって様々だと思います。私は経営については慎重派なので、悲観的な指標を元に計算することをオススメします。損益分岐点を元にして事業計画やクリニック経営を行うので、しっかり理解しておいてください。

<クリニック開業>開業時期はいつが良いのか

個人的にはクリニック開業時期はあまり気にされなくても良いと考えていますが、一般的には重要とされるセオリーがあるようです。今回は開業時期はいつが良いのか、記事にしていきます。

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外来ピーク月の2ヶ月くらい前が最適

何月に開業すべきかというのに正解はありませんが、私は外来がピークとなる月の2ヶ月前が良いのではないかと考えています。

外来がピークとなる月にオープンすると、クリニックのインフラが整っていないため外来がパンクし、かえって患者さんに迷惑をかける可能性があります。

ピークの2ヶ月くらい前であれば、外来に余裕がありスタッフ教育やインフラを整えるのに十分な時間が確保できます。

たとえば内科系クリニックであれば、風邪やインフルエンザが増加し外来が忙しくなる11月あたりを見据えて9月くらいにオープンすると良いかもしれません。耳鼻科系であれば花粉症が増える前に、整形外科では寒くなって痛みを訴える患者さんが増える前にオープンすると良い感じにスタートを切れるかもしれません。

一般的に開業を避ける時期

外来患者数と時期があまり相関しない科では、これといっておすすめの時期はありません。しかし、やめておいたほうが良い時期はあると思います。

たとえば梅雨時期。アクセスのよほど良い立地でない限り、梅雨時期には患者数は減少します。まして知られていないクリニックにわざわざ足を運ぶ方は少数となる可能性が高いので、開業時期からは外した方が無難と思います。

あとは8月開業も考えものです。基本的にスタッフは夏季休業があるものと考えて入職してきますので、夏季休暇がないとするとスタッフの士気が下がります。8月に開業したばかりで夏季休暇をとると、開院日数自体が減るにも関わらず固定費はかかってくるので経営が厳しくなります。

私は4月開業でした

私のクリニックは整形内科ですが、開業時期についてじっくり考察せずに4月開業としました。クリニックの前に長い桜並木があり、桜が満開の中で開業ができたら素敵だなという思いから開業時期を決定しました。

実際には開業前日の突風で桜がほとんど散っていた、というオチがつきますが、毎年桜を見るたびに開業時のフレッシュな気持ちを思い出します。そんな意味でも今では4月開業でよかったと思っています。

また、4月というのは我々日本人のDNA的に「新たな生活のスタート」とか「新たな出会い」などポジティブなイメージが刻まれているので、患者さんからも新規クリニック自体を好意的に受け取られやすいかもしれません。

整形外科やペインクリニックの患者さんは、一般に寒い時のほうが痛みを強く訴えることが多いのですが、実際には季節に関わらず痛い方はコンスタントに来院されます。また外傷もあまりピークというピークはありません。振り返ってみれば、いつ開業しても問題なかったなと思います。

繰り返すようですが、季節によって患者のピークがある科では開業時期について真剣に考察されることをおすすめします。

地域に強い競合がいないなら時期を問わず早めの開業を

開業時期を気にして開業自体を遅らせることで、機会損失するのもいけません。

開業地域に強い競合がいない場合は、地域の患者さんは医療機関がなくて困っているので、時期に関わらずきっと来院されるはずです。

うだうだ悩むより、さっさと開院して売上げを確保してしまったほうが、良い場合もあると思います。

逆に強い競合がいる場合には、客足の遠のく時期に開業すると全く外来に患者さんが来なくなる可能性もあるので、しっかり戦略を練っておく必要がありそうです。

ピーク時期であれば、どこも外来がパンク状態になるので、競合からあぶれた患者さんがクリニックに押し寄せてくることもあるかもしれませんね。

ですが、そもそも強い競合がいるような地域では新規開業すべきではありません。「弱者の戦略」でゲリラ戦を仕掛ければ戦えるかもしれませんが、本来のやりたい医療から離れてしまうかもしれません。

「弱者の戦略(ランチェスター戦略)」についてはこちらの記事で紹介しています。

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まとめ

開業時期についてはこれという正解はなく、ケースバイケースとなります。しかし梅雨時期や8月など開業に向いていない時期はありそうです。現在やっている外来状況をみながらピーク時期を見極めて、その2ヶ月くらい前に開業するのが安全性が高いと思います。

 

<クリニック開業>クリニック開業まとめ

クリニック開業に関わる記事をまとめました。

クリニック開業を実際に目指している方やご興味がある方は是非参考にしてください。

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開業コンセプト

クリニック開業する上でコンセプトの決定は非常に重要です。私は整形内科というコンセプトを中心にしてクリニックを立ち上げました。

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クリニック立地

クリニックの立地はその後のクリニック生命に直結します。より集患できる立地については、こちらの記事で紹介しています。

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損益分岐点の計算

実際に開業準備に入る前に、クリニックの損益分岐点の計算をしておくべきと考えます。概算で良いので計算しておくと、大まかに必要となる患者数が計算で求められるので、来院が見込めるかについて事前にマーケティングしておくと良いでしょう。

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開業準備期間

開業準備を進める上で重要なのがスケジューリングです。経験からは1年半くらいの期間があると安心できるかと思います。

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開業支援サービスと開業コンサルティング

私も利用しましたが、かなり便利です。絶対必要であるわけではありませんが、よほど腕に自信がある場合以外はうまく利用すると良いでしょう。

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クリニック開業届出

クリニック開業する際には開業届出が必ず必要になります。届出は随時できるわけでなく、〆切があるのでよく調べて早めに対応しましょう。

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オープニングスタッフの採用

スタッフ採用が大変重要であることは論を待ちませんが、オープニングスタッフは尚更です。実際の方法についてまとめています。

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クリニック開業時の広告戦略

クリニック自体を広く世間に知らせないと潜在顧客が増加せず、受診に繋がっていきません。開業時の広告戦略についてまとめました。

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クリニック内覧会

クリニック内覧会は、クリニックを周知させる絶好の機会です。ぜひ開業の際にはやってみると良いでしょう。

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クリニック開業時期

クリニック開業時期については全科共通のセオリーはないため、ケースバイケースで決めていくしかありません。外来混雑ピーク時の2ヶ月前くらいに開業するのがベターだと思います。梅雨時期や8月開業は避けた方が無難かもしれません。

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<クリニック開業>オープニングスタッフ採用について

スタッフ採用はクリニックの命運を左右する非常に大きな要素です。特にオープニングスタッフは初期のシステム構築にも関わってきますので、きちんと準備をして良いスタッフを採用しましょう。

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スタッフの採用広告媒体

開業コンサルから勧められたのが、複数の広告メディアで募集をかける方法です。私が実際に使用したのが、以下の2つです。

 とらばーゆリクルートが提供する求人広告で、有料で一定期間ウェブ上に広告を掲示しておけるサービスです。2週間くらいの掲示で、9万円程度だったと記憶しています。若い方が職探しをする際には今はほとんどウェブ検索を利用するので、若いスタッフの採用に向いています。

ジョブアイデムは新聞折込広告で、3万円程度だったかと思います。新聞折込はより年齢層が高い方が応募してくる傾向があります。新聞折込広告の効果は採用だけでなく、クリニックが開院することを広く認知させる働きもあるので、クリニック自体の宣伝効果があります。

私は院内サインやパンフレットなどを広告代理店にお願いしていたので、その伝手で採用広告についてもマネジメントを頼みました。どちらの媒体についても文面を作成してもらって、採用に関する問い合わせも広告代理店が一括して管理してくれたので私は書類審査をして採用面接をするだけで楽でした。代理店は採用関連のことは無料でやってくれたので、ありがたかったです。

私はクリニック開業の3ヶ月くらい前にFacebookページを立ち上げていたので、とらばーゆへのリンクを貼った投稿をし、クリニック周囲の地域に向けて広告を出しました。料金設定は5000円くらいにしましたが、これは効果があったかどうか、正直わかりません。

採用面接

採用への応募書類が手元に届きましたら、書類審査をします。誤字脱字は多くないか、経歴がどうか、前職をすぐに辞めていないかなどを根拠に合否を決定します。

私は面接は1回にしました。クリニックによっては二次面接まで行なっているところもあるようですが、面談自体の手間がかかることと直感のフィーリングを重要視して1度にしました。

面接は、私と妻、事務長(私の父)、会計事務所代表の4名で行いました。開業コンサルタントは、採用面接には直接タッチせず、面談に来た方の案内をお願いしました。複数の眼でみることで、多面的に人間性を評価するのと、一人では気づかないような部分について質問をしてもらえるため複数人で面談するのはとても有用です。

志望動機などの一般的な質問を一通りしたあと、個別質問に移ります。私は「現在までの成功体験」や「クリニックに対してどのような価値を提供できるか」などの質問をし、その方の応え方をみて臨機応変さを評価する工夫をしました。全員に共通して行なった質問は以下のようでした。

  • 志望動機
  • なぜ数あるクリニックの中で当院に決めたか
  • 医療現場の経験
  • 保有資格
  • 前職の退職理由
  • 応募要項どおりの労働条件で大丈夫か、など

採用面談前に簡単なアンケートを用意し、面接者に記入してもらいました。アンケートの内容は、協調性や仕事への姿勢に関するものを中心にしました。面接前に記入してもらったため、心理的に緊張状態で時間的にも制約があるため、忙しい時にケアレスミスをしやすいかどうかなども見ることができました。

クリニックに限らず、オープニングスタッフの経験はあるかなどをきいておくと、良いかもしれません。経験者を雇用すると、実際に準備で動き出すときに思わぬアイデアをくれることがあります。

採用したスタッフ

私は整形内科をやるつもりでしたので、以下のスタッフを雇用しました。

看護師は1名を正社員、1名をパートにしました。パートの方はオープニング時のストレスで2週間くらいですぐに退職してしまいましたので、開院以来正社員の看護師1名でクリニックを回しています。 本人にかかる負担は大きいですが、何とかガス抜きしながら頑張ってもらっています。看護師は給与も大きいので、複数名の雇用を行うとかなり経費を圧迫するので必要性を上回る採用は行わないようにしています。

柔道整復師は私の旧友でした。半年ほど頑張ってくれましたが、諸事情で退職しました。友人を雇用する場合、よほど仲良しでビジョンを共有している場合以外はマイナスに働くことが多いかもしれません。相手も労働条件についていろいろ文句を言ってきやすいですし、給与交渉なども複数回ありました。周囲のスタッフも少しやりにくい感じを覚えていたようです。今となっては彼が退職してくれたことで、私は経営しやすくなりましたし、スタッフとの関係性も分かりやすくなった感じがあります。

医療事務3名はかなり多く雇用した方だと思います。私のビジョンとしては、1名を主任にして指導や調整を行わせ、2名を受付業務に専従させる予定でした。現状はそのようなシステムになっていますが、開業してから数ヶ月の間は3名とも受付ブースにすし詰めで働いてもらっていました。受付専従の2名は医療事務未経験者でしたが、だんだん業務に慣れてきたところで、1名を主任に格上げしバックヤードにブースを設けて詰めてもらうことにしました。

一般に医療資格を持ったスタッフは雇用が難しく、給与も高い傾向があります。とくに看護師、理学療法士の採用は困難になることが多いので、早めに採用広告を打つことを勧めます。

まとめ

中小企業を経営する時に、重要な項目が「広告・採用・教育」とされています。採用をきちんと行うことで、クリニック運営を強固なものにしていきましょう。